紫式部ゆかりの地「廬山寺」のお庭では、今ちょうど桔梗が見頃です。
桔梗は秋の七草のひとつとされています。
萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志 また藤袴 朝貌の花
(万葉集・巻八 1538 山上憶良)
山上憶良が詠んだ秋の七草の「朝貌(あさがお)の花」。
この朝貌の花は、朝顔、木槿、昼顔、桔梗など、諸説があるそうですが、、
桔梗だというのがもっとも有力な説なのだそうです。
でも桔梗は絶滅危惧種になっているとか…
昔、野辺に咲いていた花は、
今やお庭でしか見られなくなったということでしょうか。
桔梗は「和」をとても感じさせる花、その横顔も凛として美しいです。
白砂の白、苔ともみじと松の緑、そして桔梗の紫。
「源氏庭」は、静かで美しいお庭でした。
ところで、「廬山寺」のHPによると、
「源氏物語」の朝顔が実は桔梗だという解釈から、
ここのお庭には桔梗が植えられているそうなのです…。
そこで、源氏物語の「朝顔」(第20帖)を青空文庫でちょっと見てみました。
見し折りのつゆ忘られぬ朝顔の花の盛りは過ぎやしぬらん
秋はてて霧の籬(まがき)にむすぼほれあるかなきかにうつる朝顔
とあり、朝顔は秋の花だということがなんとなくわかりました。
ただこの朝顔のことをググっているうちに、清少納言が「枕草子」64段で、
「女郎花、桔梗…」と、桔梗という言葉をこの時代にすでに使っているらしく、
また、「夕顔は朝顔に似て…」という一文もあるということがわかりました。
朝顔自体は奈良時代後半もしくは平安時代に
中国からもたらされたものらしいので、
(したがって憶良の詠んだ朝貌は今の朝顔ではないということらしい。)
この源氏物語や枕草子に出て来るこの時代の朝顔は、
すでに朝顔そのものをさすのか、
それとも桔梗をさすのか、それとも木槿をさすのか…、
なんだかよくわからなくなってしまいました。
ここはひとつ、平安時代にもどって紫式部に質問したいところですが、(^^;
そうもいかないので、まずは源氏物語の「朝顔」と枕草子64段を、
今度ゆっくり読んでみることにしてみます…。
(なんだか夏休みの宿題を出された子どもの気分…(^^;)
『風のなかの「旅日記」』に、廬山寺その1-桔梗咲く「源氏庭」をUPしました。
お庭の様子はそちらに詳しく載せています。(おじぎ)
(おまけ)
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桔梗が出て来るお話といえば、この童話を思い出します。
このお話を読んだあと、「そめもの ききょう屋」で、
指を染めてみたいと思ったものでした。